素敵な本との出会い
最近は老眼が進んで、スローペースでしか読書をしなくなり
積極的に本を買うことから遠ざかっています。
冬の間は主に図書館を利用して、文字の大きい単行本を借り
興味のある作家さんや、お勧めの新刊などを楽しみましたが
営業期間は図書館に立ち寄らないので、以前読んだ本の読み返し。
驚いた事に旅のエッセイは「これ読んだっけ?」と思うほど
新鮮だったりするのは時代の流れか、当時は知らなかった事も
今はTVの旅番組で見ていたり、政治的背景の見聞も一般的に
見聞きできるようになってきたからかな?と思うのですが
だてに歳はとらないようで、少しは理解できるようになったようです。
そんな中、立派な新刊本が送られてきて、新刊の醍醐味に触れました。
昨年も同じころ送られてきた本「壽屋コピーライター開高健」を読み
親の世代が活躍した昭和史を垣間見る気がいたしましたが
今回の本「佐治敬三と開高健 最強のふたり」は
更にお二人の個人的な生い立ちにまで深く切りこみ
丁度前回の本で疑問に感じた「サントリー会長親子の姓が違う」
その理由なども書かれていたり、昨年の朝ドラ「まっさん」での
日本のウィスキー誕生やら、ビール業界の進展など
コマーシャルを通じて、あ~あの頃の事なのかと納得する
エピソードなどがきめ細かに書かれていて
より深く昭和史を見る思いが致しました。
何となく、実業界の近寄りがたい会長と勝手にイメージしていた
佐治敬三氏の生い立ちから、苦労する一生をみると
大阪の商仲間に、昭和をリードしてきた実業家が多くいて
皆様のご苦労や仕事への情熱が伝わってきます。
そして漏れ聞く、作家開高健氏の私生活や病後の様子なども
今だから書けるのかと思うほどに詳しく語られています。
晩年励んでいた海外での取材番組は、亡くなった後の再放送や
取材時を振り返るドキュメンタリー番組などで見知っていましたが
より詳しい内容に当時の様子が窺えます。
この2冊の本は著者が違いますが、
昨年の「壽屋コピーライター開高健」坪松博之著(たる出版)
を読んだ後に今回の
「佐治敬三と開高健 最強のふたり」北康利著(講談社)を読むと
昭和のサラリーマンや実業家の生き様が少し分かるような気がしますし
何より、戦後の苦しい時代からの立ち直りの歴史が伝わってきて
私が子供時代を過ごした昭和30年代から40年代の高度成長期までを
振り返り、意識する事のなかった時代の流れに感動いたしました。
たぶん既に読まれた方も多いと思いますし、素人読者の感想文ですが
年をとったからこそ楽しめる読書もあるなと感じるこの頃、
スローライフを楽しむ今の時代が、長く続くと良いのですが・・